当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善を背景に個人消費は持ち直し、生産・輸出・設備投資にも持ち直しが見られ、企業収益も改善しており、緩やかな回復基調が続いております。また、海外経済につきましても米国や欧州経済は比較的堅調に推移しており、中国の成長鈍化や中東・朝鮮半島の地政学的リスク等はあるものの、総じて堅調に推移いたしました。

 当鉄鋼流通加工業界におきましては、一昨年秋の原料炭の急騰をきっかけに国内外の鉄鋼メーカーは一斉に製品価格の値上げを行い、市況はようやく底入れをし、回復基調となりました。上半期につきましては、鋼材需要は盛り上がりに欠けておりメーカーの値上げ幅ほどは市況に転嫁出来ず、流通スプレッドの低下を招き厳しい状況となっておりましたが、昨年8月頃よりスクラップ価格の反発をきっかけに市況は回復し荷動きについても徐々に活発化して参りました。

 このような環境下にありまして当社グループ(当社及び連結子会社)は、首都圏においては、オリンピック関連投資は一巡したものの、再開発案件等は着実に具体化しており工事請負・鋼材販売の両面において積極的な営業活動を展開しております。また、平成28年2月に福島支店を開設し、東北支店・青森営業所と共に東北地区への拡販を進めて参りましたが、その供給拠点として福島県相馬市に工場の建設を決定し、平成30年6月の竣工を目指し建設中であります。なお、その他の地域においても、地道な営業活動により販売エリアの拡大・シェアアップを図っております。

 このような状況から、鋼材の販売・加工事業につきましては、販売量は前年同期を上回った事に加え、市況回復から販売金額は前年同期を大幅に上回る結果となりました。なお、鉄骨工事請負事業は、首都圏を中心に民間設備投資は持ち直しの動きが見られ、他社との競合など厳しさはあるものの、受注活動は堅調に推移しております。工事売上額につきましては、工事完成基準適用の中小物件は完成時期が重なり増加したものの、工事進行基準適用の大型物件は多くの物件が完成間近となり進捗率の低下に加え、新規物件の着工の遅れ等もあり売上高は減少となりました。これらの結果から当連結会計年度の売上高は72,826百万円(前年同期比8.0%増)となりました。

 収益面におきましては、鋼材の販売・加工事業は、上半期におきましては、市況への価格転嫁の遅れ等から収益率の低下を招きましたが、昨年秋口からの市況回復により収益率は改善傾向となっております。鉄骨工事請負事業は、売上高の減少に加え、設計変更や工期遅延等から実行予算を上回る原価発生の物件なども散見されました。これらの結果から当連結会計年度の営業利益は4,036百万円(前年同期比5.9%減)となりました。また、営業外損益につきましては、為替差益123百万円等はあったものの、期末においては円高傾向となりデリバティブ評価損100百万円の計上等により経常利益は4,156百万円(前年同期比13.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,767百万円(前年同期比16.4%減)となりました。

 

鋼材の販売・加工事業

 

 鋼材の販売・加工事業は、建築関連の民間設備投資は緩やかに増加しており、首都圏では再開発案件等が活況を呈しておりますが、一方、首都圏以外は盛り上がりに欠ける状況であり地域間の格差が広がりつつあります。また、新国立競技場等のオリンピック関連施設は建設のピークは過ぎたものの、その他の関連投資には波及効果が現れており、鋼材の荷動きはようやく活発化して参りました。このような状況から、販売量は前年同期を上回り、市況回復の追い風もあり販売金額は前年同期を大幅に上回る結果となりました。

 品種別に見ますと、当社主力のH形鋼は従来からの建築向けが堅調に推移した事に加え、土木向けの出荷も好調でした。また、カクパイプ、C形鋼等のその他条鋼の販売も堅調に推移した結果、条鋼類は、販売量・販売金額共に前年同期を大きく上回る結果となりました。鋼板類は、建築向けの切板等は堅調に推移したものの、土木向けの敷き板は大幅な減少となりました。また、当社にて製造販売をしている床版類は回復しており、販売量・販売金額共に前年同期を上回る結果となりました。鋼管類は、コラム加工設備のリプレースや増強等からロール成形コラム及びプレス成形コラム共に好調だった事に加え、その他パイプ類も堅調に推移した事から、販売量・販売金額共に前年同期を大幅に上回りました。以上の結果から、売上高は58,536百万円(前年同期比16.5%増)、営業利益は鋼材市況の回復の影響から収益率は改善しており、収益管理に加え、工場経費や物流コストの見直し等から3,347百万円(前年同期比26.7%増)となりました。

関東工場
拡大
関東工場
H形鋼加工ライン
拡大
H形鋼加工ライン

鉄骨工事請負事業

 鉄骨工事請負事業は、民間設備投資は回復しており、首都圏を中心とした再開発や大型物件は堅調に推移しておりますが、地方の中小物件については厳しく、まだら模様となっております。受注状況につきましては、物件の大型化から受注件数は微減となったものの、受注金額は大幅な増加となっており、収益性も堅調に推移しております。売上高につきましては、工事完成基準適用の中小物件は増加したものの、工事進行基準適用の大型物件は完成間近の物件が比較的多かった事に加え、新規物件も着工の遅れ等から、売上高は14,050百万円(前年同期比16.6%減)となりました。また、収益につきましては、鉄骨加工単価は安定的に推移しており、引き続き工事管理部門の強化や鉄骨加工子会社の原価低減は行っているものの、設計変更や工期遅延等から一部工事においてコストアップとなった事から営業利益は1,271百万円(前年同期比39.3%減)となりました。

 

建築工事現場
拡大
建築工事現場
鉄骨製品
拡大
鉄骨製品

その他の事業

 その他は、運送業及び倉庫業であり、運送業については人手不足等から傭車の手配が厳しくグループ内の輸送を重点的に行った事から売上高は前年同期を下回る結果となりました。また、倉庫業についても委託先が限定されており、取扱量が減少した事から売上高は前年同期を下回る結果となりました。これらにより売上高は240百万円(前年同期比26.7%減)、営業利益は77百万円(前年同期比5.4%減)となりました。

 

運送事業
拡大
運送事業