当連結会計年度におけるわが国経済は、このところ生産・輸出については弱さがみられるものの、雇用・所得環境の改善を背景に個人消費は持ち直し、設備投資にも持ち直しが見られ、企業収益も改善しており、総じて緩やかな回復基調が続いております。また、海外経済につきましても米中貿易摩擦の激化、欧州の政治的な混乱、金融資本市場の変動、地政学的リスク等はあるものの、総じて堅調に推移いたしました。
 当鉄鋼流通加工業界におきましては、国内鉄鋼メーカーは製造コストや物流コストの増加を理由に製品価格の値上げを強力に推し進めており、鋼材市況は回復基調となって参りましたが、メーカー主導による市況回復の為、流通スプレッドの改善は進んでおらず、また、物流コストは益々増加しており引き続き厳しい状況となっております。
 このような環境下にありまして当社グループは、首都圏においては、オリンピック関連投資は一巡したものの、再開発案件等は着実に具体化しており工事請負・鋼材販売の両面において積極的な営業活動を展開しております。また、2016年2月に福島支店を開設し、東北支店・青森営業所と共に東北地区への拡販を進めて参りましたが、その供給拠点として福島県相馬市に工場の建設を決定し、2018年6月に相馬支店・工場として開設いたしました。また、東京支店にてカクパイプの製造ラインを新設し、2019年1月にJIS認証を取得し本格的な生産に着手いたしました。なお、その他の地域においても、地道な営業活動により販売エリアの拡大・シェアアップを図っております。
 このような状況から、鋼材の販売・加工事業につきましては、販売量は前年同期を上回った事に加え、市況回復から販売金額は前年同期を大幅に上回る結果となりました。なお、鉄骨工事請負事業は、首都圏を中心に民間設備投資は持ち直しの動きが見られ、他社との競合など厳しさはあるものの、受注活動は堅調に推移しております。工事売上額につきましては、工事完成基準適用の中小物件の売上高は減少したものの、工事進行基準適用の大型物件の売上高は大幅な増加となりました。これらの結果から当連結会計年度の売上高は89,906百万円(前年同期比23.5%増)となりました。
収益面におきましては、鋼材の販売・加工事業は、鋼材市況は回復傾向が続いているものの、メーカーからの仕入価格も着実に値上がりしており、在庫簿価も上昇し、物流コストも増加している事から、収益確保は厳しくなっております。鉄骨工事請負事業は、売上高は前年同期を上回ったものの、設計変更や工期遅延等から実行予算を上回る原価発生の物件なども散見されました。これらの結果から当連結会計年度の営業利益は4,123百万円(前年同期比2.2%増)となりました。また、営業外損益につきましては、為替差益133百万円、デリバティブ評価益188百万円の発生等により経常利益は4,583百万円(前年同期比10.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は相馬支店・工場建設計画に係る補助金等1,287百万円を特別利益として計上した事から3,811百万円(前年同期比37.7%増)となりました。

鋼材の販売・加工事業

 鋼材の販売・加工事業は、建築関連の民間設備投資は緩やかに増加しており、首都圏では再開発案件等が活況を呈しておりますが、一方、首都圏以外は盛り上がりに欠ける状況であり地域間の格差が広がりつつあります。また、新国立競技場等のオリンピック関連施設は建設のピークは過ぎたものの、その他の関連投資には波及効果が現れており、鋼材の荷動きは活発化して参りました。このような状況から、販売量は前年同期を上回り、市況回復の追い風もあり販売金額は前年同期を大幅に上回る結果となりました。
 品種別に見ますと、当社主力のH形鋼は従来からの建築向けが堅調に推移した事に加え、土木向けの出荷も好調でした。また、溝形鋼、カクパイプ等のその他条鋼の販売も堅調に推移した結果、条鋼類は、販売量・販売金額共に前年同期を大きく上回る結果となりました。また、鋼板類は、建築向けの切板や当社にて製造販売をしている合成スラブ用デッキとフラットデッキ等は堅調に推移したものの、土木向けの敷き板は大幅な減少となりました。鋼管類は、コラム加工設備のリプレースや増強等からロール成形コラム及びプレス成形コラム共に非常に好調に推移した事から、販売量・販売金額共に前年同期を大幅に上回りました。以上の結果から、売上高は71,133百万円(前年同期比21.5%増)、営業利益は流通スプレッドの伸び悩みや物流コストの増加等から3,699百万円(前年同期比10.5%増)となりました。 

関東工場
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関東工場
H形鋼加工ライン
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H形鋼加工ライン

鉄骨工事請負事業

  鉄骨工事請負事業は、民間設備投資は回復しており、首都圏を中心とした再開発や大型物件は堅調に推移しておりますが、地方の中小物件については厳しく、まだら模様となっております。受注状況につきましては、オリンピック関連施設の案件と首都圏の再開発の案件の端境期となっており、一時的な減少となっているものの先々は回復が予想されます。しかしながら、収益性については鋼材価格の上昇等が原価の増加につながる事から、徐々に厳しさを増しております。売上高につきましては、工事完成基準適用の中小物件は減少となったものの、工事進行基準適用の大型物件は既存物件の進捗に加え、新規着工の物件も順調に進捗しており、売上高は18,458百万円(前年同期比31.4%増)となりました。ただし、収益につきましては、引き続き工事管理部門の強化や鉄骨加工子会社の原価低減は進めているものの、設計変更や職人不足から工期遅延等もあり、一部工事においてコストアップとなった事から営業利益は1,150百万円(前年同期比9.5%減)となりました。

建築工事現場
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建築工事現場
鉄骨製品
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鉄骨製品

その他の事業

その他は、運送業及び倉庫業であり、運送業については全国的なトラック不足からグループ外からの輸送依頼が増加した事に加え、運賃も上昇している為、売上高は前年同期を大幅に上回る結果となりました。また、倉庫業についても堅調に推移しており売上高は前年同期を上回る結果となりました。これらにより売上高は313百万円(前年同期比30.7%増)、営業利益は159百万円(前年同期比105.5%増)となりました。

運送事業
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運送事業