当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大により、急激に減速しました。感染の収束が見通せない中、政府の経済政策の効果や中国を中心とした海外経済の改善もあり、一部では景気の持ち直しの動きも見られましたが、感染症の再拡大に伴い、経済活動制限や自粛要請が続き、景気は依然として厳しい状況が続いております。

 当鉄鋼流通加工業界におきましては、オリンピック関連投資と首都圏の再開発案件の端境期となり鋼材の荷動きは徐々に悪化していく中、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による実体経済活動の低迷から、鋼材価格は下落し、鋼材需要は減退しました。6月にはスクラップ価格の反転と国内鉄鋼メーカーの値上げ発表から、販売価格は底打ちしたものの、需要減退から反転には至りませんでした。しかし、いち早く経済回復した中国は粗鋼生産量を大幅に伸ばしており、12月にはこれらの影響からスクラップの海外市況は急騰し、連動して国内スクラップ価格も急騰しました。これらにより国内鉄鋼メーカーは再び大幅な値上げ発表した事に加え、自動車産業の回復等から、鉄源不足も懸念される等、鋼材市況は回復して参りました。しかしながら、建築需要は弱く、出荷量の回復には至らず低位のまま推移しました。

 このような環境下にありまして当社グループは、各地域において、地道な営業活動により販売エリアの拡大・シェアアップを図っておりますが、販売先でありますゼネコンやファブリケーターは、大型物件等の工期の長い案件につきましては、スケジュールに沿ってある程度の仕事量は確保しているものの、地方の中小物件等につきましては設備投資の中止や延期等から仕事量は非常に少なくなっております。

 このような状況から、鋼材の販売・加工事業につきましては、販売量は前年同期を下回る結果となった事に加え、販売単価につきましても大幅に下落している事から、販売金額は前年同期を大きく下回る結果となりました。なお、鉄骨工事請負事業は、民間設備投資はこのところ弱含んでおり、受注活動は厳しさを増しております。工事売上額につきましては、工事完成基準適用の中小物件の売上高は増加したものの、工事進行基準適用の大型物件の売上高は前年同期にはオリンピック関連施設等により大幅増加となっていた事から、反動減となり大幅な減少となりました。これらの結果から当連結会計年度の売上高は67,785百万円(前年同期比18.7%減)となりました。

 収益面におきましては、鋼材の販売・加工事業は、販売量の減少に加え、上半期においては国内鋼材市況は急速に下落した事から、特に在庫出荷品については、高止まりした簿価の在庫を市中価格で販売する事となり収益率は悪化しておりましたが、下半期には在庫の入れ替えと市況回復により改善して参りました。鉄骨工事請負事業は、工事完成のタイミングや工事の進捗により売上高は大幅に減少したものの、今のところ個別工事の収益性については大きな低下等は見られず、厳しさはあるものの収益確保はできました。これらの結果から当連結会計年度の営業利益は1,659百万円(前年同期比57.4%減)となりました。また、営業外損益につきましては、保険返戻金122百万円、受取保険金99百万円及び災害による損失117百万円の発生等により経常利益は1,781百万円(前年同期比58.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,183百万円(前年同期比56.5%減)となりました。

鋼材の販売・加工事業

  鋼材の販売・加工事業は、建築関連の民間設備投資は新型コロナウイルス感染症の影響等による企業収益の悪化を背景にこのところ弱含みで推移しております。新規物件の発生も減少しており、鋼材需要は弱く、荷動きも低迷しております。このような状況の中、売上高は販売量・販売金額共に前年同期を下回る結果となりました。

 品種別に見ますと、当社主力のH形鋼は従来からの建築向けに加えて、土木向けにつきましても販売量・販売金額共に前年同期を下回る結果となりました。その他条鋼につきましては、自社製品でありますC形鋼、カクパイプが堅調に推移した事に加え、鋼矢板、異形棒鋼等も好調だったものの、H形鋼の減少を補うことはできず販売量・販売金額共に前年同期を下回る結果となりました。また、鋼板類は、土木向けの敷板等は前年同期を大幅に上回りましたが、建築向けの切板及び切断用母材等は低迷しました。なお、当社にて製造販売をしている合成スラブ用デッキとフラットデッキ等は新型コロナウイルス感染症の影響等から工事現場での作業工程の遅れや中小物件の減少等により出荷量が伸び悩みました。これらの結果、販売量・販売金額共に前年同期を下回りました。鋼管類は、在庫出荷のロール成形コラム、物件対応のプレス成形コラム共に伸び悩み、販売量・販売金額共に減少となりました。以上の結果から、売上高は55,410百万円(前年同期比16.7%減)、セグメント利益は鋼材市況下落の影響を受け、収益率は急速に悪化しておりましたが、在庫の入れ替えが進んだ事に加え、当第4四半期連結会計期間には鋼材市況も急速に回復した事等から1,354百万円(前年同期比47.3%減)となりました。

関東工場
拡大
関東工場
H形鋼加工ライン
拡大
H形鋼加工ライン

鉄骨工事請負事業

 鉄骨工事請負事業は、民間設備投資はこのところ弱含みで推移しており、首都圏を中心とした再開発や大型物件につきましては、オリンピックの延期に伴い工程の変更等はあるものの、総じて計画通りに進むものと考えられますが、地方の中小物件等については中止や延期等もあり、厳しい状況となっております。売上高につきましては、受注物件の規模が若干小さくなっており、工事完成基準適用の中小物件は増加となったものの、工事進行基準適用の大型物件はオリンピック関連物件が一巡した事に加え、進捗物件の減少等もあり、売上高は12,121百万円(前年同期比27.1%減)となりました。また、収益につきましては、引き続き工事管理部門の強化や鉄骨加工子会社の原価低減は進めているものの、売上高の減少が影響しセグメント利益は986百万円(前年同期比52.0%減)となりました。

建築工事現場
拡大
建築工事現場
鉄骨製品
拡大
鉄骨製品

その他の事業

 その他は、運送業及び倉庫業であり、運送業についてはグループ内の輸送が減少する中、グループ外の鉄骨製品輸送を積極的に行った事から売上高は前年同期を上回る結果となりました。また、倉庫業については取扱量の減少から売上高は前年同期を下回る結果となりました。これらにより売上高は253百万円(前年同期比23.6%増)、セグメント利益は69百万円(前年同期比57.6%増)となりました。

運送事業
拡大
運送事業